エジプト訪問記〜3〜 初日

旅行記

飛行機を乗り継いでようやくエジプトに到着しました。ヘロヘロになりながらwelcome dinnerを終えて宿にたどり着いて寝ました。

朝早くに目覚めてホテルの中を散歩したのですが、涼しくて快適です。ホテルには緑が多いのですが、もちろん乾燥地なので水やりが必須。早朝は潅水用のホースから水が供給されていたのですが、ホテルの巨大なデブ猫が優雅にこの水を飲んでました。なんか元気が出てきます。

 

ちなみに日本からの招待講演者は3人です。面識のほとんど無かった3人目の方の飛行機が遅れて乗り継ぎがトラブったらしく、学会の夕飯の時点でもお会いできていませんでした。

ホテルの朝のビュッフェでそれらしき日本人を見かけたので、私はなぜか日本語(まだ寝ぼけていたらしい)で「XXさんですか?」と話しかけると少し戸惑った様子ながらも「yes」という返事でした。

てっきりその3人目の方だと思って、(何で英語で話すのかな? まあ海外だし日本人同士でも英語ってポリシーかな?)とか考えながら、英語で
自分:「なんか大変だったらしいですね? 疲れたでしょう?」
先方:「結局は5時に着いたよ。でも全然平気です」
自分:「えっ? マジですか? エライ大変でしたね。(朝の5時だと思っている)」
みたいな会話をして別れました。
しかしこの方、後で学会会場で韓国の方だったことが判明します。(しかも自分の講演の直前の発表者)
まあ韓国からでも充分遠いのですが、お互いに勘違いしながらも会話が成り立つのは、アンジャッシュのコントみたいですね。

(私が一方的に悪いのですが、訳のわからない言葉で話しかけられて思わずyesと言ってしまうあたりは・・・アジア人の習性なのか?)

 

さて、学会の初日で講演が始まります。学会自体は最近になって世界的に流行っている”microbiota”が主題です。
これは「微生物叢」と訳されることが多いですが、ようするに微生物の集まりのことですね。
例えば大腸には大腸菌を含めて色々な微生物が居ますが、以前は単離して培養できる数種の微生物だけを解析するのが精一杯でした。

しかしこの10年くらいで革命的に進化した「次世代シーケンス技術」により、

1. どんな種がどれくらいの割合で存在するか?

2. 解析サンプル全体にどんな遺伝子が含まれているか?

という解析が可能になってきました。現状は、前者に関しては属レベルの解析までが限界ですし、後者に関しても「どの微生物種が持つ遺伝子か?」という情報を取り出すのは至難ですが・・・。

おかげで例えば、「寿命が長い村に住む人の腸内細菌の構成と、都会の人の腸内細菌の構成を較べる」とか、「ある土地の土壌微生物全体がどんな遺伝子を持つのか?」という解析が行われています。

次世代シーケンスによるメタゲノム
個々の微生物を単離せずに、そのサンプル全体に含まれている遺伝子情報をゴッソリと解析しようというのが「メタゲノム」というアプローチです。解析に用いる次世代シーケンサーは、現状では (1)数百bpくらいの短い配列を大量に読む (2)数は少なくなるが、10kbくらいの長い配列を読む の二択です。 メタゲノムはデータ量が欲しいので、(1)の方法が主体になりますが、それでも対象に含まれる全ての生物種の全ゲノムを解析するのは到底無理です。 そこで16S rRNA(原核生物)や18S rRNA(真核生物)の一部をPCRで増幅して、それに集中したシーケンスをするのが主流。rRNAで判るのは属レベルの違いのみで、例えば同じ属に性質が異なるものが含まれていても判別は不可能という弱点があります。

今回の学会は植物の根や葉の周囲や内部のmicrobiotaに関するものです。参加者はドイツ・エジプト・日本がメインで、そこにヨーロッパ各国からの参加者がチラホラ居ました(下の写真は主にエジプト人達と)。

 

エジプトのカイロ大学には日本に留学したことのある教授が多いらしく、かなり色々な人から話しかけられました。大体は研究に関係ない話ですが・・・・、エジプトの人達はとても親しみやすかったです (サンプルが偏っているのは確実ですが)。

エジプト訪問記〜4〜 ハエ

 

 

 

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