センター試験が終わって、いよいよ3年生の受験も終盤になってきました。教え子達も、推薦やAO入試などで進学が決まった生徒も、まだ戦っている生徒もいます。みんな納得できる進学先に決まって欲しいですが・・・、こればかりは祈る他ありません。
その大学ですが、中学や高校とは性質がかなり違います。中学や高校までは、その後に高校入試や大学受験などの「ゴール」が設定されているので、何をしなければならないのか明確になっています(進学を選ぶ場合)。一方で大学では、医師や法学系などの資格取得が必要な「ゴール」が設定されている分野もありますが、大部分は「単位を集めたら卒業」という形式以外は自由です。講義の内容も大学や学部・先生によって全く異なりますし、身につけなければならない内容というものは決まっていません。就職で大学で習った内容を試験されるというのは、かなり特殊なケースではないでしょうか?
それでは何のために大学に行くのか?
たぶん20年ほど前までは、「偏差値の高い大学に行けば、一流企業に就職できて一生安泰だから」という人が大勢だったように思います。たしかに一昔前は、日本の一流企業が世界を席巻して、永久に好景気が続くように思えました。学歴さえあれば、どんなに能力が無くても、やる気が無くても安泰という光景も普通でした。
しかし今は幻想は崩れて、超一流で永久に繁栄し続けるように思えた企業がバタバタと失墜していく光景は、見慣れたものになっています。日本の国際的な地位や評価も低下し続けているように感じられます。「発展途上国」だと以前は思ってた国々に逆転されているような話にも、驚かなくなってきました。そして必死で良い学歴を得て大企業に就職しても、その大企業があっさり潰れる可能性は低く無いです。
このような状況で、良い学歴を得るために大学に行くというのは、無意味とは言いませんが、意義が薄れているのではないでしょうか???
今も昔も大学生は、大学生活のほとんどの時間をバイトに費やしています。以前は遊ぶお金を確保する目的の人が多かったでしょうし、現在は家庭の経済状況も変化しているので、大学に通い続けるために不可欠である人も増えているでしょう。どちらにしても、大学進学は学歴を得るためで、講義や内容には期待していない人が多いように感じます。つまり学歴を得ることが目的というのは変化していない。しかし学位の重要性は低下しているように思えます。私は職業柄、これに矛盾や違和感を感じてしまいます。
学歴は、初対面の最初の数分の印象を左右する効果はあるでしょうが、結局は能力や性格などの評価に取って代わられてしまいます。企業にとっても、「地頭が良いか?」「受験を頑張ったならマジメに働きそう」くらいしか参考にしていない印象があります・・・。講義内容や大学の教育で身につけた技能を求める話というのは、相当にレアなケースではないでしょうか? もちろん就職活動で「学歴で足切り」というのは日本企業の伝統なのでしょうが、その伝統で人材を集めた結果・・・まあ失墜した原因は色々あるのでしょうけど。
大学生や大学院生の就活書類を何度か添削した経験があるのですが、アピールするのは多くの場合、バイトやサークルなどの話なんですね。大学のカリキュラムで身につけた技能や、講義で学んだ内容を書く人など見たことがありません。もちろんバイトやサークルでの経験も重要だとは思うのですが、それって「大学」は要りますか??? 片手間のバイトよりも、中卒や高卒で一生懸命働いた方が、より深く多く学べるのではないかと思います。サークルだって、大学じゃなくてもありますよ?
コメント