高校生研究発表会への提言1〜現状課題

Ph.Dコラム
今まで何度か、高校生研究発表会の審査員を行いました。
また、それ以上に何度も教え子達と一緒に発表会に参加しました。
どちらの場合も、審査のシステムに不満や疑問が浮かぶことが多いですし、主宰者側も悩んでいるように思えます。
ここでは審査する側をされる側の両方に関わった者として意見を書かせていただきます。
 
研究には優劣が存在します。
これは確実で、プロの研究でも稚拙であったり、目的のはっきりしない酷い研究を目にすることもあります。
一方で優れた研究同士を比較するのは難しいです。
例えば私は植物の研究者ですが、専門の植物学会や植物生理学会の中でさえも、同じ目的の研究以外を比較するのはナンセンスなように思えます。
野球で言えば、
「キャッチャーとピッチャーと遊撃手の誰がもっとも優秀か?」
を議論するくらい不毛かと。
同じポジションで優劣を比較するのはとりあえず可能ですが、役割が異なるポジションを同列に議論するのは意味がありません。
ましてや高校生研究発表が主体の会では、動物分野と植物分野の比較はもちろんのこと、物理や化学、数学などとも比較される訳です。
もはや「野球」と「書道」と「しりとり」のどれが一番優れているかを決めるようなものです。
 
しかも審査する側は、全部のポスターを見るのは実質的に不可能です。
1つのポスターで説明をしっかり聞いてコメントするのに、だいたい7-8分くらいは欲しいです。例えば40題の発表があったとして約5時間(休憩無し)もかかってしまう。
発表会は普通は3時間くらい、短いと2時間くらいなので全く時間が足りません。
審査は複数の研究者が行うのですが、審査員の専門や好みが違いますので、担当範囲を決めるというのも、コンテストでは正しいとは思えません。
担当範囲の中で優劣を決めることはできたとしても、他の人の担当範囲とレベルが異なることは充分にあり得ます。
(しかも同じ学校からのエントリーが、隣同士に配置されることは珍しくない。最近は改善されている気がしますが。)
 
現状がどうなっているかと言いますと、そもそも「どのポスターを見るか?」という部分で勝負が分かれてしまいます。
人が多く群がっているようなポスターは人気がありますが、それをかき分けて審査するのは難儀しますので後回しです(本質的に間違っているのですが、上述のように時間が無い)。
私が審査員の場合は、身内の発表者が参加していることが多いのですが、それも後回し・・・というか全部飛ばします。
誰か他の審査員が見てくれた場合はラッキーなのですが、下手すると誰も行ってなかったということも珍しくありません。
(ある審査会では、生物系が私だけだったのに・・・)
 
こういう発表会の審査というのは非常に大切で、納得できなかったり不公平を感じさせると、生徒の心が折れてしまいます。

もちろん審査員の価値観も人によって異なりますし、万人に納得させるのは難しいですが、せめて「審査さえもされていない」という不満は解消すべきです。

>高校生研究発表会への提言2〜解決案(中川式)

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