土壌中には根粒菌以外にも膨大な数と種類の微生物が生息しています。この中には病原菌となり得る微生物も含まれていますので、マメ科植物は誰でもホイホイと受け入れたら大変なことになります。マメ科植物は根粒菌だけを選んで導いていると考えるのは自然でしょう。
1985年頃に一部の研究者は、マメ科植物の根の分泌物に根粒菌の共生遺伝子群を活性化させる物質が含まれていることに気が付きました。その後の研究で、これがフラボノイドと呼ばれる物質であることが判明します。
フラボノイドによって活性化される根粒菌の共生遺伝子群(破壊すると共生しなくなる)をヒントに、1990年にDenarie博士がNodファクターと呼ばれる物質を同定しました。
その後の研究でフラボノイドやNodファクターの構造は、マメ科植物や根粒菌によって微妙に異なることが判明しました。しかもマメ科植物や根粒菌の種によって、反応できるフラボノイドやNodファクターの構造は異なります。もともとマメ科植物と根粒菌の共生は、ダイズ根粒菌はクローバーには感染しないなど、宿主特異性が非常にはっきりしていることが知られていました。フラボノイドとNodファクターの構造で、この宿主特異性の大部分が説明できてしまいます。さらにNodファクターを与えると、根粒菌無しでも根粒様の構造が誘導できます。またNodファクターを合成できない根粒菌は根に全く侵入できないことから、フラボノイドーNodファクターの相互認識が根粒菌共生の成立過程の非常に大きな部分を担っていることが判ります。
モデル植物ミヤコグサの登場
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