大腸菌などはグルコース(ブドウ糖)と、それよりも複雑な糖の両方があった場合に、グルコースを優先して使う仕組みがあります。また我々の脳はグルコースだけをエネルギー源として使いますが、これは脳が非常に重要な器官だからであると推測されます。つまりグルコースは、生物がエネルギーを獲得するためのもっとも便利な物質です。もちろん自然界ではグルコースがそのまま落ちていることは少ないので、我々は頑張ってグルコースに変換する必要があります。
グルコースは解糖系と呼ばれるタンパク質群によって分解されて、有機酸と呼ばれる物質に変換されます。この過程ではちょっとだけエネルギーが取り出せるのですが(酸素要らない)、その後に有機酸をクエン酸回路(TCAサイクル。酸素必須)によって二酸化炭素に分解する過程で、大量のエネルギーを獲得できます。酸素が無い状態での嫌気呼吸はクエン酸回路が回せないので、効率が悪いのですね。
それでは根粒菌は、植物からどのような形で支援を受けるのでしょうか・・・・?
実は共生中の根粒菌(バクテロイド)はグルコースを分解する必要さえも無く、有機酸の形で光合成産物の供給を受けます。グルコースから有機酸を作る過程では多くのタンパク質が必要なのですが、バクテロイド化した根粒菌は、これらの遺伝子がOFFになっています。(遺伝子自体は保持しており、共生していない時は自分でグルコースを分解している)
他にもバクテロイド化すると多くの遺伝子がOFFになっており、窒素固定だけに専念できるような環境が整えられています。
注)判りやすくするために「エネルギー」と表現しています。
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