真核生物>ディアフォレティケス>SAR>オクロ植物>珪藻類
ガラスの主成分は二酸化ケイ素(SiO2)です。これに水が加わったものが珪酸ですね。
珪藻は珪酸質でできた殻、つまりほぼガラスの殻を持つというSFに出てきそうな生物ですが、実は淡水から海水まで大量に存在する身近な生き物です。
水槽で魚などを飼っていると壁に茶色っぽいコケが生えてくることがありますが、その正体は珪藻だそうです。
(筑波大学のボルボルさん提供の珪藻写真)
珪藻は光合成生物で、コンブやワカメなどの褐藻類と共にオクロ植物(黄藻植物)に属しています。
紅藻を取り込んだことに由来すると考えられている葉緑体(正確には色素体)を持っているのですが、カルテノイドの量が多いので褐色に見えるようです。
顕微鏡などで観察すると、その姿もSFです。
基本的に単細胞性ですが、集まって複雑な群体を作る種も多いです。
どんな選択圧がかかれば、こんな生き物たちが出現するのでしょうか・・・・。
それぞれの不思議な形がどのような意義をもつのか?
単純に観察を続けるだけで、立派な中学生・高校生の研究がいくらでもできるでしょう。
珪藻のような微生物は、めまぐるしく変化する環境に適応して生き残らなければならないためでしょうが、結果として収斂進化が起こりまくっているようです。
つまり、同じような形をしていても進化的には近くないことが多いです。
以前は形態的に羽状珪藻と中心珪藻に二分されていたようですが、進化的には入り交じっているようですね。
小学校の時に習った「ハネケイソウ」も、実は進化的に遠縁の珪藻が混在していて形態的に判別するのが難しいようです。
飛猫屋ドングリ工房の生物キーホルダーも、一応は現在知られている分類情報を記載していますが、将来的には大きく変更されている可能性が高いです。
ご注意ください。
そんな珪藻の面白ポイントとして、一部の珪藻は観察中に動き回ることが挙げられます。
しかもハリケイソウとか意外に速い。
微生物が動くのは当たり前・・・
そのように思うかもしれませんが、微生物の動くための装置として一般的な「鞭毛」や「繊毛」、アメーバーのような仮足は、ガラス質の棺桶みたいな殻に入った状態の珪藻には存在しません。
(遊走細胞と呼ばれる状態だと鞭毛があることも)
じゃあ、どうやって動き回るのか?
光学顕微鏡しか存在しなかった時代は、殻の内部から水流をジェット噴射しているとか色々と推測されていたようです。
現在では、殻の内部から粘液性の物質が放出されており、それがどこかにくっつくと体が引っ張られて動くという説が有力なようですが・・・まだ未解明な部分が大きいようです(こちらの珪藻の解説ページを参考にさせていただきました)。
NHKの珪藻の動画もオススメです。
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