アイデアの源泉3:実際に観察する

Ph.Dコラム

多くの人が最初にwebでアイデアを探すと思いますが、ネット上の情報というのは、それを掲載した人によって取捨選択が行われた後のものです。その人が重要だと思わなかったり、気が付かなかったことは省かれてしまいますよね。そして、残った情報には新奇性が無いことが多いです。それよりも、何でも良いから実際に観察してみてはどうでしょうか?

例えば下の写真は、今年の生徒の研究で使っているハスモンヨトウの幼虫です。これは東京農工大の仲井まどか先生の研究室に分けて貰ったのですが、見ていると色々と面白いことに気が付きます。

芋虫の足って、私は全て同じ構造をしていると考えていました。しかし、実際には前足と後ろ足は全然形が違いますよね? 葉の上での歩き方を見ていると、後ろ足は吸着するようにガッチリと足場をつかむのに対して、前足は全く違う使い方をしているようです。最初は後ろ足が吸盤のようになっていると思ったのですが、紙でも毛だらけの葉でもつかめるのに対して、プラスチックの壁だと後ろ足が滑ってしまうようです。小さな指のようになっているのでしょうか? そして歩行中に時々、後ろ足で立ち上がって何か探るような動きをします。たぶん既に知られていることも多いでしょうが、見ていると非常に多くの疑問が湧いてきます。

コメント