ここでは一般には馴染みの薄いであろう「研究室」について書きます。文系は知りませんが、理系の場合は3年生の終わり頃から研究室に配属されて卒業研究に取り組みます。
多くの人は研究室を、主宰する教授の先生の人柄や研究内容を参考に選ぶことが多いです。しかし近年の教授および准教授の仕事は膨大になっており、授業や会議などで忙殺されているために、実際に細かく指導できる人は少ないのが現状です。したがって学部の学生さん達の実際の実験指導は、先輩の学生や助教、ポスドクなどが担当します。日常から接する機会が多い先輩や助教・ポスドクの人柄などは特に重要で、研究室の雰囲気や生産性を左右します。
私の場合は植物系が希望だったので、オジギソウの電気生理学かシアノバクテリアの光合成の二択でした。シアノバクテリアの准教授の先生の授業が非常に面白かったことと、シアノバクテリアの中にも窒素固定する種が存在することから、後者を選びました。ちなみに人気の研究室には希望者が集中するために、その過程で人間関係に亀裂が入るほどモメることがあります。特に私の時代は研究室配属のルールが明確でなかったせいで、成績の悪い人はジャンケンによる選別を、成績の良い人は当然ながら成績による選別を主張してお互いに譲らない状況でした。私の友人の1人は人気研究室を、当時付き合っていた人が入るという理由で希望したのですが、成績の悪い希望者達から吊し上げられていました。なんでも「私はこの研究室に入るために大学に入った」「私はこの研究ができなければ将来が無い」などを泣きながら主張されたそうですが・・・、ちょっと不思議な話に聞こえますね (なぜ勉強しなかった?)。
他に意外な人気を集めた研究室がありました。その研究室は前年まで全く人気が無かったのですが、その年は「先生が全くやる気無くてセミナーさえも無いから楽チン」という酷い理由で人が集まったのです。ところが希望者が多かったことで、状況を誤解した教授がやる気を出したらしく、「これからはセミナーをしっかりするから日程を決めよ!」とおっしゃったそうです。
しかし学生の方は強者揃いで、「先生、みんなで話合ってこの日を希望します。でもみんなバイトがあって来れません!!」という酷い返事で、せっかく芽生えた教授のやる気を見事にへし折ったとか。
まあ・・・、どっちもどっちですね。みんな心ゆくまで就活やバイト、卒業旅行などを楽しんだそうです。
私の希望する研究室は、助教の人が厳しいことで有名だったので人気が集まり過ぎずに、希望者は全員入ることができました。3年生の実験実習の20枚以上に及ぶレポートは、助教の方が隅々までチェックして誤字や脱字なども全て指摘されます(すごく熱心な人です)。当然のように再提出が要求されて、酷い人は再々々提出です。みんな戦々恐々としながらレポートを受け取りに行くのですが、私の一生懸命書いたレポートは「G」で、もっとも几帳面で優秀だった人のレポートは「E」です。そもそも何段階で評価しているのかと騒然となりました。実は「Good」や「Excellent」の略でしたが・・・・、みんな勘違いして青ざめるほど厳しかったです。
現在では、ほとんどの大学が「成績優先」を明確にしているらしく、あまり問題にはならないようです。
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