私の大学生活-1

自己紹介

私は中学生くらいの頃からだと思いますが、「砂漠緑化したい」と考えていました。生物が好きだったので「バイオテクノロジー」を利用した緑化です。しかし進学した高校は勉強が盛んではなかったせいか、1クラスしかない理系コースは物理・化学必修でした・・・。生物選択の友人に見せて貰う図説は魅力的でしたし、あまり集中できない授業の時に隣から聞こえてくる生物の授業は面白そうで羨ましかったです。かなり苦労して地方の公立大である姫路工業大学(現・兵庫県立大学)の生命科学科に入学したのですが、ゲノムからRNAが転写されてタンパク質ができるという、生物選択者にとっては当たり前の「セントラルドグマ」の話でさえも感動して聞いていました。

ちなみに私が所属していた姫路工業大学の理学部キャンパスは、山の中にあります。下の写真はgoogle mapで見た我が母校(赤印)なのですが、谷間の集落を除けば森ばっかり(これでも当時より相当に拓けている・・・はず)。24時間やっているコンビニまで車で30分。シカもイノシシも、さらに夏休みには駐車場を歩いているカブトムシやクワガタムシや、それを捕まえに来る親子などに普通に会えます。なぜか崖の上に建っている大学の寮は、眼下に雲海が広がることもあります(高度よりも地形の影響?)。

左上にある白い輪は、Spring-8と呼ばれる物理分野の有名施設で、生物でもタンパク質の構造解析などに活躍しているらしいです。この大学に決めた理由は、物理関係の仕事をしていた父親が「これからの生物学にSpring-8は凄い役立つから、関係している姫路工業大学は穴場だ!」と薦められたのが大きいです。もっとも、父も私自身も正確に理解していたとは言い難いですが・・・・。

大学はほとんど娯楽がなく、しかも今のようにスマホや携帯ゲームもそこまで普及していませんでした。高校と違って夏休みなどの時間はたっぷりありますし、私は頭の回転は速くなかったのですが考え続けることは好きでした。そこで図書館で色々と調べながら、趣味で勉強していました。テストに出たりしないものを、強制されずに調べるのは意外に楽しいですし、考える実力を付けたりするにも最適なのでオススメです。

さて緑化の話ですが、何をどうすれば可能なのでしょうか? サボテンなどの乾燥に強い植物も知っていましたが、どう考えても成長が遅いですし、これが砂漠で繁栄したとしても、私がイメージする緑化とは違います。

気象学にも手を出してみたり、人工的に雨を降らす方法なども調べましたが、たまたま父親から「実は砂漠の地下には膨大な水資源があるらしい」という話を聞いたのを契機に、不足は土木関連の方法で解決してもらって、その上で緑化するためには肥料が必要だろうという考えになりました。肥料についても当時は全然知識が無く、しかも大学も農学系の授業はありません。肥料の成分を調べている時に主成分が、窒素、リン酸、カリウムであることを知りましたが、この時に強烈な違和感を感じました。リン酸やカリウムは土壌に埋まっていなければ、その植物はアウトですが、窒素は大気中に山ほどあります。そこで大気中のN2が非常に安定であることと、N2をアンモニアに変換する窒素固定の話を知り、「砂漠の緑化をするには窒素固定が鍵だ!」と思い込むようになりました。

ところで姫路工業大学の生命科学科ですが、大部分は動物系の研究室で植物系は2つしかありません。しかも1つは光合成細菌であるシアノバクテリアの光合成、もう一つはオジギソウの電気生理学でした。緑化も窒素固定もほとんど関係がありません。受験前にもっと調べておくべきだったのかもしれませんが・・・、動物系の講義もシアノバクテリアも、現在の自分の独創性の基礎として役立っています。考えることの重要性を教えて下さった先生にも出会えましたし、学生も優秀で面白い人が多く刺激やその後の人生のヒントになりました。まさに「百聞は一見に如かず」で、実際に行く前に手に入る情報程度では本質は何も判りません。中学・高校生の生徒さんで進路に迷っている人は・・・ある程度は調べた上で、

とりあえず自分の学力と思い込みで進路を決めてはどうでしょうか??

選ばなかった選択肢の先は、本当のところは絶対に判りようがありませんしどのような環境であっても学ぶことも成長することもできます。逆にそのような姿勢と覚悟が無ければ、結局はどんな恵まれた環境であっても無駄にと思います。どんな大学でも学科に良い先生が1人は居ますし、逆に良い先生ばかりの大学なんか無いと思います。まして自分にとって良いとは限らない・・・。

私は良い選択肢を選ぶのではなく、選んだ選択肢をベストにするのが正解だと考えています。

私にとっては、非常に得るものが多かった大学生活でした。

私の大学生活−2

 

 

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