ちなみに私は無知で不勉強だったので、フタバネを始める前は「植物は大きく分けて単子葉植物と双子葉植物に分かれる」などと思っていました。
だから双子葉植物のモデルであるシロイヌナズナと、単子葉植物のモデル(?)であるイネの研究基盤が整備されているので、あとは根粒菌共生ができるマメ科植物のモデルのミヤコグサがあれば充分かと・・・(ホントに恥ずかしい)。
しかし基礎生物学研究所の長谷部光泰先生のページを見ていて衝撃を受けました。そもそも単子葉・双子葉植物の両方を含む「被子植物」の誕生は1.5億年前くらいとされているのですが、最初の陸上植物であると考えられているコケ植物は5億年前くらいに誕生したと推測されています。単純に比較するものでは無いですが、コケと被子植物の違いと比較すれば、単子葉・双子葉の違いなど微々たるものかもしれません。
長谷部先生のグループは、私のような無知な人間にも1発でコケ植物や進化研究の重要性が判るような素晴らしい発見を色々とされています。その中でも特に印象的なのは、「花」に関する話です。花は裸子植物や被子植物で観察されますが、シダやコケ植物にはありません。花の形成に関わる遺伝子はかなりの数が存在しますが、これらは祖先裸子植物で一斉に獲得されたのでしょうか?
長谷部先生らの解析では、花を形成しないシダやコケ植物にも、花の遺伝子とよく似た遺伝子が保持されています。もちろん花を作るためではないですが、少なくとも一部は胞子嚢の形成などの生殖機能に関わるようです。おそらくは裸子植物でいくつかの遺伝子が獲得されたか、別の部位で働く遺伝子がリクルートされて、花が形成されるようになったのでしょう。
被子植物の花は、多数の遺伝子が複雑に関わりあって形成されています。これをいきなり理解しようとするのは相当に難しいでしょう。しかし、これらの遺伝子が関わる原始のメカニズムを先に解明して、後からどのような遺伝子が足されていって被子植物の「花」が獲得されたのかを調べれば、より深く「花」の形成メカニズムを理解できると期待されます。
(この辺りの話は、JT生命誌研究館のコラムをオススメします。パソコン推奨でスマホでは厳しいですが)
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