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根粒菌共生はマメ科植物でのみ成立しますが、その理由としては
- 非マメ科植物に共生に必須の遺伝子がそもそも存在しない
- 遺伝子は持っていても、根粒で発現させることができない
という2つのパターンが考えられます。私達は2のパターンについて研究を行いました。
ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)というタンパク質をコードする遺伝子は、非マメ科植物にも存在します。C4という特殊な光合成に貢献するPEPCは特に有名ですが、そもそもPEPCは基礎的な炭素代謝に関わっています。活発な炭素代謝が行われているマメ科植物の根粒ではPEPCが高発現しているのですが、私は根粒で特異的に高発現する分子種がどのように誕生したのかを解析しました。
ダイズにはいくつかPEPC遺伝子が存在しますが、その中の1つであるGmPEPC7だけが根粒で高発現しています。その他のPEPCの中でGmPEPC15はGmPEPC7と非常に良く似ています。この2つの遺伝子の発現を制御する「プロモーター」という領域を解析したところ、GmPEPC7には
- 根粒での発現を可能にするSR領域
- SRと協調して根粒での発現レベルを上昇させるAR領域
という2つのDNA配列が存在することを発見しました。おそらくこの2つの配列をプロモーター領域に獲得することが、根粒菌共生の成立に重要であったと推測されます。
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