ツノゴケ[いきもの図鑑]

魅惑の生物図鑑

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コケ植物はツノゴケ類、マゴケ類(蘚類)、ゼニゴケ類(苔類)の3つに大別されます。蘚類と苔類はモデル植物としてヒメツリガネゴケとゼニゴケが確立されていますが、コケ植物全体の基部で分岐したと考えられているツノゴケ類はモデルがありませんでした。しかし2020年にナガサキツノゴケ(Anthoceros agrestis)などのゲノムが発表されて、ようやくコケ植物3大分類のゲノムがそろったことになります。

蘚類や苔類がそれぞれ1万種近く知られているのに対して、ツノゴケ類はなんと200種程度しか知られていないそうです。ツノゴケの特徴の「ツノ」は胞子体と呼ばれるもので、中には胞子が形成されて成熟するとツノが割れて胞子が飛び散るようです。なんだかマメの莢に似ていますね。ツノ以外の部分はゼニゴケと似ています。ゼニゴケ類には茎があるものが多いのですが、知られているツノゴケ類は全部茎が無い。しかもコケ植物の中で最初に分岐した植物群。ということは最初の陸上植物は茎が無かった・・?となりそうですが、ツノゴケも茎がある種が全滅しただけの可能性があるので判らないそうです。

実はツノゴケはネンジュモと共生します。葉状体(葉っぱみたいに見える部分)の内部の所々に粘液の溜まった空間があり、最初は空間の一部が外界と通じているそうです。ネンジュモが粘液口に誘因されて内部に入ると閉じて、内部で共生窒素固定を行います。同じような共生は苔類のウスバゼニゴケでも観察されるそうですが・・・・凄いですね。

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