ネンジュモ目[いきもの図鑑]

魅惑の生物図鑑

真正細菌>シアノバクテリア>ネンジュモ目 (目以下の分類は難しい)

中学校や高校で出てくる「ネンジュモ」は、原核生物で細菌のシアノバクテリア(ラン藻)の一種です。あまりにネンジュモばっかり出てくるのでシアノバクテリアと言えばこの形だと思う人も多いかもしれませんが、「糸状性」以外にも単細胞や、群体性と呼ばれる面白い形態をとるものも居ます。これらの形態は進化を反映していないらしく、単細胞と群体性が近縁だったり、同じ糸状性でも遠縁だったりするようです。ネンジュモ目は例外的に明瞭な単系統らしいのです。しかし糸状性のシアノバクテリアは他にも存在するようで、糸状性=ネンジュモ目ではありません。

シアノバクテリアは真核生物の細胞に取り込まれて葉緑体の祖になったとされており、光合成のスペシャリストです。ネンジュモは光合成細胞が直線状に連続しているのですが、面白いことに特殊な役割を持つ細胞を形成する時があります。ヘテロシストとアキネートです。

イシクラゲの顕微鏡観察写真。普通の光合成細胞の他に大きなヘテロシストが見える。

イシクラゲのクロロフィル自家蛍光を観察した写真 。明視野で見えていたヘテロシストは自家蛍光が少ないまたは無い模様

ヘテロシストは窒素固定専用の細胞です。根粒菌と同じくシアノバクテリアも原核生物なので、窒素ガスからアンモニアを作るニトロゲナーゼを持っている種が多いです。ただしニトロゲナーゼは酸素に激弱なので、光合成と相性が悪い。そこで光合成を止めて窒素固定に特化したヘテロシストと呼ばれる細胞を形成する訳です。もちろん周囲には山ほど光合成して酸素を吐き出す細胞があるので、ヘテロシストの細胞壁(?)は非常に分厚くなって酸素を遮断しているようです。

アキネートは胞子のような役割をもつ休眠細胞です。ヘテロシストとは形態的に異なるのですが、やっぱり頑丈にできており、環境が変化して光合成細胞が全滅しても生き延びるためのものです。内部には栄養も蓄えられているようですね。

ヘテロシストを持っているネンジュモは、実は他の植物にモテモテです。コケ植物のツノゴケ全般やウスバゼニゴケ、シダ植物のアカウキクサ、裸子植物のソテツと共生して窒素栄養を供給するのは非常に有名です。その見返りに光合成産物を受け取るようですが・・・・君ら光合成のスペシャリストやん・・・・。

 

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