戦略の重要性

Ph.Dコラム

私は「戦略」という考え方を非常に重視しています。没落した企業、滅亡した国や傾いている国、失敗したプロジェクトなどは、もちろん要因は色々あって中には仕方無いと言えるものもあるでしょうが、大部分が「それはそうだろう」というものではないでしょうか? 特に今の日本はなかなか深刻な状況だと思うのですが、躍進していた余裕のある時期に適切な手を打てなかったことが大きいと感じています。

歴史を見ていても、多くの滅びた大国は末期になって深刻さを認識して、しかしその頃には既に追いつめられすぎて全体の戦略を見直す余裕が無く、その結果として順当に滅びる。その繰り返しに見えます。研究業界や大学も似たような気配を感じていて、余裕のあった時期に存在意義を充分に浸透させることができず、現在は追いつめられすぎて、深刻な状況を認識しつつも誰も余裕が無い・・・(明るい展望を持つ人に会ったことがありません)。大人の社会は、当分は沈没が続くでしょう。

まだ逆転できるとすれば、今の子供達の将来に託すしかありません。「戦略」はどの分野でも学ぶことができますが、「役に立たない基礎研究」は戦略を学ぶ非常に良い訓練の場でもあります。「実際には役に立たない応用研究」よりも、よほど有意義だと思います。

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