フタバネゼニゴケ

生徒達の研究

Marchantia paleacea subsp. diptera

フタバネゼニゴケの芳香成分について

落合希美さん

第78回日本植物学会高校生発表 最優秀賞

高砂香料株式会社と特許申請

専門誌に論文掲載

(「Volatile Components Emitted from the Liverwort Marchantia paleacea subsp. diptera」 Natural Product Communications誌 vol.11: pp.263-264 (2016))

[ngg_images source=”galleries” container_ids=”9″ display_type=”photocrati-nextgen_basic_slideshow” gallery_width=”800″ gallery_height=”400″ cycle_effect=”fade” cycle_interval=”7″ show_thumbnail_link=”0″ thumbnail_link_text=”[Show thumbnails]” order_by=”sortorder” order_direction=”ASC” returns=”included” maximum_entity_count=”500″]落合さんはもともと香りに興味があり、アロマテラピーの資格を持っています。最初はハーブの研究などをしたいとのことでしたが、大部分は企業や大学等で研究されているので新奇性が無い。そこで私が研究していたフタバネゼニゴケが梅の香りがするということで薦めました。本当に芳香成分が単離・同定できるか不安ながら試行錯誤したのですが、落合さんは注意深い観察から、コケの香り成分が組織表面に分泌されているのではないかと考えて、濾紙を使って香りを集めることに成功しました。香り成分の分析については、徳島文理大学の浅川義範先生や高砂香料株式会社のご厚意でGC/MSによる分析を行って頂きました。その結果、被子植物のシソ科に特有であるペリルアルデヒドが、フタバネゼニゴケに大量に蓄積しているという世界的にも新しい発見に結びつきました。

フタバネゼニゴケとシソ植物の祖先は、大昔に分岐したと考えられます。それにも関わらずこれらの植物がペリルアルデヒドを蓄積するということは、それぞれが独自に合成系を獲得した可能性が高いです。ペリルアルデヒドは食品添加物・香料として非常に重要であり、現在はシソから精製されているようですが、合成の中間産物が混入しやすいという問題があります。フタバネゼニゴケが全く異なる合成経路を保持しているならば、このような問題を解決できるかもしれません。

本研究の成果は専門誌に論文が掲載されて、さらに高砂香料株式会社から特許申請が出されています。また香り成分の合成経路の進化についての研究が専門家チームにより開始されています。

立ち昇るの香り

〜フタバネゼニゴケの芳香成分について〜

舛村康成さん

[ngg_images source=”galleries” container_ids=”10″ display_type=”photocrati-nextgen_basic_slideshow” gallery_width=”900″ gallery_height=”300″ cycle_effect=”fade” cycle_interval=”7″ show_thumbnail_link=”0″ thumbnail_link_text=”[Show thumbnails]” order_by=”sortorder” order_direction=”ASC” returns=”included” maximum_entity_count=”500″]桝村さんもアロマテラピーの資格を持つそうで、前年の落合さんのテーマを引き継いで、

  1. フタバネゼニゴケのペリルアルデヒドの大量精製法の確立
  2. ペリルアルデヒドが蓄積する意義

について調べることにしました。

彼は非常に頑張って衣装ケースを用いた大量の培養系を作ったり、香料の精製法を自分で調べて試したりしました。精油を得るための蒸留法や、ワセリンにペリルアルデヒドを染みこませる方法など工夫を重ねましたが、残念ながら薄い香りの成分が得られるだけで効率的な方法を確立出来ませんでした。

フタバネゼニゴケがペリルアルデヒドを蓄積する意義についても、シソで線虫に対する忌避効果などの情報を得て試していましたが、なかなか結果が出ません。高校の中庭でゼニゴケらしきコケがダンゴムシに大量に食べられていることに気が付いた時は、そのゼニゴケとフタバネゼニゴケを使ってダンゴムシに対する忌避効果を調べましたが、期待とは逆にダンゴムシはフタバネゼニゴケのみを食べ尽くすという結果に終わり、愕然としていました。桝村さんは本当によく頑張りましたが、このテーマ自体はあまり進みませんでした。

しかし、この経験が同時期にウサギゴケを研究していた米田さんの研究と結びついて、2人で大きな成果を挙げていったのです。

ちなみに自然界の捕食者ー被食者の関係は、お互いに激しい対抗進化が起こります。現存の生物は対抗手段を開発して生き残っているので、ペリルアルデヒドを高蓄積するフタバネゼニゴケが逆に食べられやすいのは意外ではありません。

(実際にシソを狙い撃ちするハスモンヨトウという幼虫が居ます)

おそらくフタバネゼニゴケのペリルアルデヒドは、ダンゴムシ以外の何かに対して有効であると推測されます。途中から米田さんとの共同研究が盛り上がってしまって打ち切りのような形で終わりましたが、私はこの研究も評価しています。

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