アイデアの見つけ方:先行研究

アイデアの見つけ方

私が所属する横浜市の高校では、来年度に研究を行う生徒の相談に乗ることが増えてきました。そこで「ちょっとマズイな・・・」と思うことを書きます。

最近は中学・高校での研究のやり方を書いた書籍も増えてきたようです。

そのような書籍には「最初に先行研究を調べましょう」というのが書かれています。

私も「新奇性が無ければ研究ではない」と考える人間なので、先行研究と同じようなことをやっても仕方が無いというのは賛成なのですが・・・・。

しかし、中学生や高校生にテーマ探しの段階で

「最初に先行研究を調べよ」と指導することの弊害

が見えてきました。

 

専門研究者の場合は、興味を持ったことにアプローチする前に先行研究を調べるのは普通です。しかし調べる前の興味を持った段階で、

「自分なりに色々と考察する」

という段階が自動的に発生しており、たぶん本当に「何も知らず&何も考えず」に先行研究を調べる人は居ないでしょう。

あらかじめ自分なりに推測したり予測したりするからこそ、先行研究を調べた時に違和感や矛盾に気が付いてアイデアに発展します。

しかし中学生や高校生が、普段は全く馴染みが無く、しかも幅広い知識も無い状態で専門的な話を聞いても、

 

「へ〜」

 

という以上の感想を抱けというのは無理が有りすぎます。

論文などでは、著者がその研究を理解するために必要な知識を「Introduction」として提供しています。その著者が選別して与えた知識の中だけで、専門家である著者も思いつかないようなアイデアを中高生が見つけられるのは、よほど著者が間抜けな時だけでしょう。

知識・技術・設備が論文の著者よりもはるかに劣る中高生が、その著者が与えた知識の中だけで考えても、新しい発想を見つける・・・・。可能だと思いますか??

(見つけたと思ったとしても、著者も想定している。既に取り組んでいるか、取り組まない難点があると予想されます)

そこでオススメは、

「興味を持ったり気になったことを自分の手持ちの知識で可能な限り考える」

ことです。

そして考え尽くして思考が進まなくなった段階で、「先行研究」を調べましょう。

先行研究を見る時も、「先行研究の方が正しい」という先入観は捨てて下さい。

自分が考えた方が正しいかもしれませんし、実際にそのようなことも珍しくないです。

 

試験勉強や受験勉強で、初めて見る問題を解答を見ながら解いても全く力になりませんよね?

最初に自分で悩んで考えて解いてみるからこそ、答えを見た時に自分の間違っていたり足りなかったりするものが判ります。

しかも研究の場合は、「解答」が本当に正しいとは限らない。

納得できなければ、「研究アイデア」の発端になる可能性があります。

どうやったらアプローチできるか考えましょう。

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