ノーベル賞

Ph.Dコラム

今年のノーベル医学生理学賞に京都大学の本庶佑博士が選ばれました。毎年のように受賞する期待が高かった方です。ご研究内容の方は、私にとっては専門外なこともあって詳しくはないですが、近年の高額だが効き目の高いオプジーボ(ニボルマブ)の開発につながったそうです。凄いですね・・・・。

 

その本庶博士がNHKのインタビューで、非常に重要なこと2点指摘されていました。

1つは「教科書や人の言うことを簡単に信じるな」です。僭越ながら私も完全に同意で、アイデアの多くもここからスタートします。前にも指摘しましたが、鵜呑みにするなら、それは宗教ですので。色々な人が疑いながら激しく揺さぶって、それでも立っているのがホンモノです。揺さぶって疑いが出てくるならば、それはチャンスなのでしっかりと突き詰めましょう。ちなみにホンモノは、ホンモノだと思われていたモノのすぐ近くに落ちていることが多い印象です(エアープランツの研究とか)。

2つ目は「基礎研究の重要性」です。まあ本庶先生の基礎研究は最初から応用を意識したものだとは思いますが、同様のことは近年の多くのノーベル賞受賞者達が毎回指摘されていますね。思いがけないところから役立つアイデアが出てくることは多いですし、ダーウィンの進化論のように、「全然役立たない研究(当時の社会状況では)」が後世の重要な基礎概念として役立つ例もあります。一方で相変わらず「すぐに役に立たない研究は意味が無い。応用研究をしろ」と、高校生にさえ言うような方々が重要なルールを決める側におられ続けます。一方は偉業を成し遂げられた方々の主張で、他方はこれまでも&これからも何も成さないだろう人達のお言葉ですね。不思議なのは、前者ではなく後者が日本を動かしているということです。日本が沈没しつつあるのも無理はありません。

中学生や高校生の方々にお願いしたいのは、自分で研究することだけが重要ではないということです。ルールを決める側に、本気で研究に取り組んで論理的な思考技術やセンスを獲得した人材が必要なのは明らかです。将来に「研究する」「研究しない」以外に、第三の職業の選択肢として心に留めていただけると幸いです。

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